もしあなたの家族が新型コロナウイルスに感染した場合、どうするべきか?

Written by: Maki Kano-Lueckerath, M.D.

Vice President, JMSA

Attending in Internal Medicine and Pediatrics, The Mount Sinai Japanese Medical Practice

Translated by: Yuzuru Anzai, M.D.

コロナウィルスの大流行の中で、多くの人がもし自分が感染したらあるいは家族が感染し、病気になったらどうしようかと思っておられる事と思います。

感染者の80%は非常に軽い症状か、中等度の症状ですみ、重症になる事はありません。しかしながら、もし重症になった時にどのようにして病院に行き治療を受けたらいいか不安に思っていらっしゃることと思います。

ここに書きました事は、3月25日の時点で手に入る情報をもとに、プライマリーケアの医師としての私の個人的な視点から描いたものです。毎日状況が変わっています事をご注意ください。

よくある質問

1どのようにして検査を受けたら良いのか?

熱やあるいは咳などの呼吸器の症状があり、コロナウィルスの感染が疑われた場合、まず最初に、かかりつけの先生のオフィスに電話をして指示を仰いでください。

ほとんどの医師のオフィスでは、感染を広げないために、熱がある患者さんの診察をする事を受けつけていません。もしこうした症状があり、心配されている場合に、電話をせずにドクターのオフィスに行く事は必ず避けて下さい。オフィスとの行き来の間、オフィスで接触する医師、スタッフ、他の患者さんたちに感染を広げる恐れが出てきます。

多くのオフィスでは遠隔診療をセットアップしています。ビデオを通して、医師に相談ができ、薬を出してもらう事も可能です。

現時点では、NY州ではほとんど軽度、中等度の症状の患者さんは、コロナウィルスの検査を受けることができません。これは検査キットの数が限られていること、それから検体を採取する際に感染予防のスーツ、マスク等が必要になるからです。更にウィルスに対する薬が存在しないので、検査結果によって治療方法が変わらないことも事実です。

ですから大多数の人は検査を受ける事はありません。これに対して納得がいかない方もいらっしゃるかと思いますが、検査の如何にかかわらず治療方法等は変わりません事を覚えておいてください。

2もしコロナウィルスの感染が疑われた場合、救急外来に行ったほうがよろしいでしょうか ?

救急外来は多くの病気の人で溢れています。その中にはきっと、本当のコロナウィルスの感染者もいるはずです。ですから医師のオフィスに電話をして、遠隔診療を受けたほうがずっと安全です。そして重症の方、呼吸困難の方、あるいは全身状態が悪い方の場合は、指示に従って救急外来に行っていただくようになります。その方たちは、入院が必要と判断された場合、ほとんどはコロナウィルスの検査を受けることになります。

強い呼吸困難がある方、チアノーゼが出ている方、意識混迷、意識不明等の非常に心配な症状があり、かかりつけの医師に連絡が取れない場合にはすぐに救急外来にいらして下さい。

3どういった人が重症になるリスクが高いでしょうか?

高齢者、免疫力が低下している方、あるいは喘息、慢性閉塞性肺疾患等の肺の病気を持っている患者さん、そして癌にかかっている方は、重症になるリスクが高いので、入院していただく様になります。 学令児童は通常はとても軽い症状です済みます。しかしながら 20歳から50歳の方はこの病気で入院することも多く見られます。

4コロナウィルス感染者を家で面倒をみる場合にどのようにしたらよいでしょうか?

多くのコロナウィルス感染の患者さんはとても軽いか中等度の症状なので、ほとんどは家での療養となります。感染のある患者さんは可能な限り別室、別のトイレを使用し、他の人との接触を避けてください。熱はアセトアミノフェン(タイラノール)で下げるようにし、充分睡眠をとって下さい。ご家族は全員マスクをして、飲み物食べ物等は、ドアの外に置くようにしてください。

お子さんが病気の場合には、ご両親が全く近寄らないのは非常に難しくなりますが、最小限のコンタクトに留めてください。

症状がありコロナウィルスの診断がついた場合、あるいは疑いが強い場合にはアイソレーション、その人と接触があった人は14日間自己隔離が必要となります。

(注記:日本語では、はっきりしなくなりますが、英語のquarantine は、隔離で、症状がない人の行動を制限する事を指します。これに対して、症状がある人については isolation で他者との接触を絶つ形になります。)

5 病気から回復するのにどれぐらいかかりますか?

CDCによるとほとんどの人は1週間位で回復します。

ホームアイソレーション解除は通常

1  解熱剤なしで72時間ずっと熱がなかった場合

2 呼吸困難などの症状がない場合

3  最初の症状が出てから7日以上経過した場合

入院した方は24時間間隔をあけてウィルスのテストが2回陰性の場合には退院となります。

上記しましたように軽度から中等度の症状の方は検査を受けられないことが多いのですが、現在のように感染が広がっている場合には、咳、発熱などの症状の方はコロナウィルスの症状と考えてそのように対応してください。またその方とコンタクトがあった方は14日間自己隔離を行なってください。

ドクターのオフィスに遠隔診療についてのご相談をなさってください。マウントサイナイジャパニーズメリカルプラクティスの連絡先は以下の通りです。

遠隔診療はコロナウィルスについて心配されている方が、外来に行かずに医師に相談できる便利なものですので、ぜひご利用ください。

(この原稿は CDC Website および New York Times article “What to do if you or your loved one might have the coronavirus” dated 3/22 and 3/23/2020)

東京海上記念診療所 遠隔ビデオ診療のご案内

皆様:

COVID-19の世界的な感染拡大により、未曾有の状況が発生しています。殆どの州で自宅退避命令が出され、多くの人が在宅勤務や自宅での学習を余儀なくされています。

この厳しい状況下、私たち病院・診療所は、患者様とスタッフの安全のために、従来の診療方法を大幅に見直さねばなりません。COVID-19感染リスクのため、発熱、咳、息切れなどの一般的な症状のある患者様に来院いただくことは非常に困難になっております。更に、殆どの診療所では急を要する患者様しか診ることができず、健康な患者様は予約の延期をお願いせざるを得ない状況になっています。

今般、東京海上記念診療所 – Mount Sinai Doctors Japanese Medical Practice (JMP)では、今回のCOVID-19パンデミックへの対応を契機に、ビデオによる遠隔診療サービス「テレ・ヘルス」を開始しました。日本語を話すバイリンガルの内科医および小児科医によるビデオ診療を実現し、日本人コミュニティの医療ニーズにお応えします。「テレ・ヘルス」により、患者様には次のことが可能となります。

1. COVID-19に関する懸念や質問について、経験豊富な日本語を話す医師と面談できます。

2. 医師が必要と判断した場合、COVID-19の検査や入院の必要性についてアドバイスを得ることができます。

3. 発熱や咳などの症状をビデオを通して診察することができます。また、これらの症状をご自宅で安全に管理するための幅広いアドバイスも提供いたします。

4. 隔離を余儀なくされ不安を抱えられている患者様のメンタルヘルスのご相談も受けられます。

5. 感染リスクのため来院を控えられている患者様に対し、COVID-19以外の一般的な健康問題についてのご相談も受けられます。

患者様は、スマホ・タブレット・PC(カメラとマイクが必要)の何れかを持ち、MyChartアプリをダウンロードしておけば、米国内のあらゆる場所でこのサービスを受けることができます(新規またはNY州外からの患者様の場合、保険でカバーされるかは保険会社に確認が必要です)。「テレ・ヘルス」は全て予約制なので、先ずは東京海上記念診療所のマンハッタンオフィスまたはハーツデールオフィスの受付にお電話いただき(以下参照)、予約を入れることから始まります。その際に、「テレ・ヘルス」を受ける手続きや、MyChartアプリの設定について詳しく説明させていただきます。

マンハッタンオフィス:Tel. 212-889-2119 電話受付 8am〜4:45pm(月〜金)

ハーツデールオフィス:Tel. 914-997-1220 電話受付 9am〜5pm(月〜金)

https://www.mountsinai.org/locations/msd-japanese-medical-practice/japanese  ←東京海上記念診療所リンク

https://www.youtube.com/watch?v=3QTk3MjT1Hg&feature=youtu.be MyChartアプリダウンロード・使用方法ビデオリンク

東京海上記念診療所は、30年前に設立されてから長年に亘り、日本語・英語双方による最先端のプライマリケアを日本人コミュニティを中心に提供してきました。医師とスタッフはバイリンガルであり、診療は殆どの主要な保険を受け入れます。

是非この機会に「テレ・ヘルス」をご利用いただければと存じます。

東京海上記念診療所

 事務長   土井 英太郎

 院長・医師 桑間 雄一郎

 医師    加納 麻紀

 医師    木村 啓子

 医師    ロザレス ロウェナ